高校同窓会

 高校の同窓会があった。卒業から約20年、卒業生はもう全員40歳近い。なのに「第1回」。一部の同窓生(意外にも優等生ではなく、でも目立ってたヤツら)が幹事となり念願をかなえたのである。会場は8人掛けの丸テーブルが13個と、けっこう広く、8クラス合計で100人程集まった。担任の先生も8名中5名いらっしゃった。すごい集客力であり、幹事たちの人柄と努力のおかげだと思った。
 
 当時のクラスメートはみんな私を即識別して「よぉ! ○○」と声をかけてくれ、思わず頬が緩んだ。しかし、着席して話すとなると話題に事欠いてしまい辛かった(当時もつるんでなかったし)。その後、気の置けない友人・Nくん(遅刻した)が合流してくれてからは楽になった。
 100人中、ハッキリ覚えていたのは20人ぐらいだったろうか(もちろん自分のクラス中心)。他の人たちは、たぶん今後どこかで会っても識別できないだろう。
 そんな「同窓生」という名の他人たちが、当時の部活や現在の仕事をステージ上でクラス毎に自己紹介していった。みんな立派なスピーチをしている。ハキハキ喋るし、話にオチまで付けてる。マジ凄い。予め原稿書いて練習したのかと思うほど。中には実際に人前に立つ仕事をしている人も居て、その声の抑揚や身振り手振りの巧みさには正直引いてしまったほどだ。もちろんみんな、話している内容自体も立派だ。つまり、みんな「パワフルな人」だと感じた。
 
 ウチのクラスの番。進行を担当したIくんは「みんな当時好きだった人の名前を言いましょう!」と軽くネタ振りした。みんな自己紹介の最後に、当たり障りの無い相手の名前を言ったり、「ノーコメントで」と逃げてIくんに「△△さんです!」とバラされて笑いになっていたりした。
 僕も最初は「当時は××ちゃんのポニーテールが…(*´Д`)ハァハァ」(←ホントだけど)と軽く逃げようと思っていたのだが、変に酔っていたせいもあり、ふと本当のコトを言ってみたくなった。僕が好きだったのは、今日は参加していない人。だから問題ないかなぁ、なんて思って。何言ったって20年前じゃ時効だし無問題でしょ?と思って。
 
僕 「一番好きだった子とは、当時付き合っていたので…」
クラスメート 「(軽く)エェー」(←当時の僕にそういうイメージが無い)
  (会場は無反応)
僕 「えっと、コメントアウトということで」(←ノーコメントを言い間違えてる)
I 「○○、誰、誰?」
僕 「でもさっき他の人から、『今は子供がいてウン歳で』とかいう生々しい話を
   聞いちゃって、けっこう落ち込んでます」
I 「○○、もういい、もういいよ!(汗) じゃあ次は…」
  (会場、たぶんドン引き)
 
 かー! やっちまった。後から考えて大後悔。くだらない上に超迷惑。
 でもその一方で、どんな手を使ってでも何かメッセージを送りたかった自分が、確かに居た。
 
 二次会があったが参加せず、Nくんと共に帰路に着いた。
 今日参加できなかった「ウチのグループ」連中に連絡してみよう、と話して別れた。
 会社の会議よりもクタクタになった。