私には逆効果の手法だった

 今日会社の研修があったのだが、午後の研修に15分遅刻して来た私の先輩を、講師が顔を真っ赤にして大声で1分間近く怒った。「帰れ!」とまで言った。事前に私が「先輩が仕事のために午後遅刻する」旨を講師に伝えていたにも関わらず……。先輩は言い訳もせず「すみません」と謝り続けていた。
 ひとしきり怒ったあと、講師は笑顔に戻り、先輩に対しても落ち着いた声で次の指示を行っていた。
 別の講師の別の研修に参加した人の話だと、そこでは研修と関係ない係員の人が同様に怒られていたそうで、どうやらそういう「手法」ではないかとのこと。最近流行っているスパルタ研修に似た心理操作で、これで研修参加メンバー全員の気持ちを引き締めるのが目的と思われる。
 だが、それが手法だとわかっても、今日の研修が終わってこの時間になっても、私はずっと嫌な気持ちでそのことばかりを考えてしまっている。通常ならその日の研修内容を反芻しているところなのだが。
 明日も今日の研修の続きがある。すごく嫌だ。気持ち悪い。研修の内容は有用なのに。
 講師は怒るときに「会社が金を出してくれているのに、いい加減なことをするな!」とも言っていた。私はこの言葉に心理操作されてしまい、明日の研修をボイコット出来そうも無い。