ジーンが終わった

「やあ、久しぶり」
 再会した仁子(竹内結子)に微笑みかける南原教授(内野聖陽)の顔からは、抑え込んだ劣情が滲んでいた。でも彼は、自分から口にした「別れ」を、守り続けなければならなかった。
「お久しぶりです」
 仁子も大人として微笑んでいたが、彼女には未だに選択の余地があった。少なくとも自分ではそう思っていたはず。だから最後にラジオを聴いてやるせなくなっていたんだと思う。「神様は何故こう何度も私を試すのよ!?」って。
 まあ、別れた二人が立派な大人どうしとして挨拶できる状態だと言うだけでも、僕には羨ましい限りなんだけどね。